もし日本語教師がアラビア語を勉強したら
日本語教師とは語学のプロ(のはず)。そんなプロ(の駆け出し)が語学に挑戦したら、どうなる?をテーマに始めたブログも、アラビア語学習編、ヨルダン生活編を経て、日本生活復帰編に突入します!

20年の歴史

ヨルダン大学で日本語教育が始まったのは1993年のこと。
ちょうど20年前。
人間で例えれば、今年が成人式ですね。
親の元を離れて社会に出て行くべき年齢。
でもヨルダンだったら独り立ちするのは通常結婚後のことなので、たいていの場合は親と同居のパターンが多い・・・なんてことはまあ置いといて。

私は短期長期を合わせれば16人目の日本人教師でした。

そんな長い歴史の中に自分が身を置いているということは知っていましたが、その歴史に対して学習者数も学習環境もまだまだ整っていない現状をどうしたらいいかと焦るばかりでした。

しかし先日、15人の先輩教師方の報告書というものを読ませていただく機会がありました。

最初の報告書は1993年の8月でした。
それまでヨルダンでは公的機関で日本語を学ぶ場所はなく、ヨルダン初の日本語コース設立・運営の苦労が読み取れました。
当時はコースができたばかりということもあり、何もない中でたった1人の教師が大学に送り込まれてコースを開講していたようです。
教科書もろくにない、大学は知らない人ばかり、助けてくれる現地人が誰もいない中、日本語を学びたい学生はたくさんいたようで、1クラス30人以上の登録者だったと書いてありました。
(今ではたいてい1クラス10人以下)


それから徐々に初級から中級に向けての授業が始まったり、日本へ行けるプログラムがたまたま設立されたため、日本へ行ける学習者が少しずつ増えて行ったり、大学外で日本語を勉強したい人の声に答えて一般公開講座が開講されたり、、、
いろんなことが起こっていました。


そして2003年のイラク戦争によって日本人は帰国せざるを得なくなり、その時に残された学習者を助けるような形でT先生という現地人日本語教師が誕生したようです。


マダガスカルの先生にインタビューしたとき、何故日本語教師になったのかと言う問いに対して、
「マダガスカルでもっと日本語を勉強したいと思ったら自分が先生になって場を作って行くしかなかった」
と答えていました。
(このインタビューは「カケポんかけだし」にて時期に放送予定)
このように、日本人が少ないorいない中で、日本語教育を続けたいと現地の人が思った時に現地の日本語教師は産まれるのかもしれません。


ヨルダンで日本語教育が始まった当時の報告書に、

ヨルダンでは日本語で仕事ができる場所が少なく、そのためパートナーになりうる人材が育たない。育ったとしても仕事や家庭の事情で日本語教育から離れていってしまう
と書いてありました。

今でも日本語教育だけをやって生活できる人はいません。
育った人材も海外へ行ってしまったり、家庭に入って社会に出てこなくなってしまったり、人材確保は今でも難しいです。

でも、今はT先生という何にでも協力してくれて相談ができる日本語教師がいます。
そしてひと声かければいつでも集まってくれる学習者たちもいます。
公開講座だけでなく、イベントにも協力的な秘書と会長も、
大学に対して一緒に交渉してくれる大使館のスタッフも、
さらに、これからはきっとアシスタントも育っていくはず。

20年、何もないところから始まった日本語教育はこんなにもたくさんの人に支えられて輪が広がっているじゃあーりませんか。

日本語を通していろんな人が出会ったり、交流したり、人生について考えたり、笑ったり、泣いたり、、、これってすばらしいことですよね。

たとえ、協力者であるヨルダンの人々が日本語教育やヨルダンから離れたとしても、きっとこの場所で味わった体験は人生の素敵な一場面になっているはずです。
それでいい、とは言いませんが、それも大事だと思います。


わたしは、ヨルダンの日本語教育のためにと中級コースを作ったりアシスタントを育成したり、働く場所を作ったりといろんなことをがんばらなきゃと思うあまり、 先輩方やヨルダンの学習者たちが築いていたことが見えていなかったんじゃないかと反省しました。


(と、言いつつも「もう20年目なんだから、自立して広い世界に羽ばたいていこうぜ!」という気持ちもありますが・・・)



いずれにせよ、今までたくさんの人が関わって築いてきた日本語教育の輪を壊さないように、そして少しでも楽しくなるように勤めることがまず一番の仕事なんだと思うようにします。

今まで続けてこられたこと、そのバトンを受け取れたことに感謝して、次の世代にバトンを渡していけるように日々楽しんでいこうと思いました。


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