もし日本語教師がアラビア語を勉強したら
日本語教師とは語学のプロ(のはず)。そんなプロ(の駆け出し)が語学に挑戦したら、どうなる?をテーマに始めたブログも、アラビア語学習編、ヨルダン生活編を経て、日本生活復帰編に突入します!

日本語学習者から聞いた話 「もっと話したい」

日本語教師の中で、「プライベートと仕事は絶対分けたい。学生とは学校以外で会いたくない」という意見の方もたくさんいると思います。
私も日本語教師になった時はそうでしたが、今ではあまり気にしていません。
SNSを利用していることもあり、学校以外で学習者と繋がるのはよくあることだし、学習者の話を学校以外のところで聞くのも結構好きです。どんなことに興味があるのか、どんな勉強をしているのか、どんな風に日本語を使っているのか...などなど。日本語以外の話ももちろん楽しいです。

今日は学習者から聞いた話で自分も忘れないようにしなきゃな〜と思ったことを書きます。

その学習者は留学生で、日本語を毎日4時間勉強しています。
留学生といっても年齢はかなり大人で、今まで仕事もやってきたしそれなりの大人です。私よりも年上です。
レベルは初級が終わって中級に入ったあたりです。
以下、悩める学習者の本人談まとめ。

「日本語の初級では毎日新しい文法、新しい語彙を学び、どんどんできることが増えていって自分の能力が上がっていくのを感じられたし刺激的でモチベーションも高かった。

でも、中級に入ってから急に成長が止まってしまった。

難しい表現や長文を読む練習、そして作文、、、スピーチ、、、プレゼンテーション、、、

机や本に向き合う時間が長くて刺激がなくなってしまった。日本語で話す時間が減ってしまった。
自分の能力が後退しているように感じる。
このままだと「本当の」日本語能力がなくなってしまうようで怖い...。」


まとめるとこんな感じでした。

これは中級ショック、とでもいうのでしょうか。
確かに初級は毎日が新鮮、毎日が成長!というのは当たり前だと思います。
だってその前がゼロに近いから!!

逆に自分で勉強している人は初級が退屈...という人もいます。

この学習者の場合は会話から学ぶタイプというか、会話を通して使いながら覚えていく学習スタイルなので中級以降の読解や作文に自分の成長が感じられないのだと思います。
プレゼンテーションは自分で興味のある内容について発表するので語彙も多くなるし、今まで勉強したことを使ってアウトプットする機会なのでこの人にも合っているのでは?と思いますが、もう心がクローズなのか効果が感じられないようです。。。

同じ授業で成長を感じる人もいます。

ただ、学習者に「退屈」と思われないためにはどんな授業をしたらいいのか、何が必要なのかを考えるいい機会になったのでメモしました。

この学習者はもっと会話がしたい、と言っていました。
会話とは何か?
あくまで「この話をしていた学習者曰く」ですが、「自分の言いたいことを言いたい」「使い古されたトピックではなく、今現在使えるトピックで話したい(例:アメリカの新大統領、移民、、、など)」「ディベートのように話すスキルを磨きたい」などなど。

政治的なネタ、好きな人いるよなあ。。。
確かに、「子供の時の思い出」とかよりも大人だったら政治や経済を話したいよね、と思いました。

この学習者が言う「本当の」日本語能力、と言うものが本当に正しいかどうかはともかくとして、学習者のニーズがあるなら話す時間を増やせるように努力しようと改めて思いました。




オンラインセミナー「チェコとインドネシア間のスカイプ会話プロジェクト」メモ

論文ではないのですが、国際交流基金のブダペストセンターのオンライン日本語教師セミナーを拝見したのでそのメモです。

「チェコとインドネシア間のスカイプ会話プロジェクト(仮)」JFBPオンライン日本語教師セミナー

発表者はチェコのマサリク大学日本研究科のJura Matela先生。
チェコの有志の日本語学習者とインドネシアの日本語学習者とでスカイプを使ってインタビューをし合うプロジェクトをしたそうです。
そのことについて発表していました。

まず、なぜチェコとインドネシアが繋がったのか?というと、Jura先生が留学中にインドネシアの先生と知り合ったので今回のプロジェクトをすることになったそうです。

このプロジェクトは、スカイプで相手の情報(学習動機や学生生活について)をもらって、その結果をプレゼンテーションにして発表する、という内容だったそうです。

インプットだけでなく、アウトプットもしなければいけないんですね。

このプロジェクトの結果、私は「学習者同士の繋がりや、互いの国の印象はどうなったのかな〜」と思い、質問してみましたが、あいにくパイロットプロジェクトだったせいか、あまりこの点についてはフォーカスしていなかったようです。
この会話の目的は「日本語をコミュニケーションのツールとして使う」ことだったので、互いの国についての印象が変わったり個人的な関係ができたりなどはなかったようです。。。(個人的には残念ですが...)

やはり、チェコとインドネシアの日本語学習者、ということで、互いの国より日本の方に興味があったようです。

また、文化的な違いというか、チェコ側の学生はスカイプをする際に一人で対応していたのに対し、インドネシアでは複数の人が集まって会話を見学したりしていたそうです。
(チェコ側はやりにくかったようですね....)

今回は1回だけのセッションで目的が「コミュニケーションの道具としての日本語」だったので、互いの交流にはあまりフォーカスしていなかったことがわかります。
外国人とのコミュニケーションの道具として日本語を使ってみて、チェコ側の学生たちはちょっと物足りなかったという感想が多かったそうですが、それはレベル差があったからだとJura先生は言っていました。
やはり同じぐらいのレベル、もしくは自分よりも少し高いレベルの人と話をしたいものなんですね。

とりとめのないメモですが、以上です。
詳しくご覧になりたい方は上のリンクから録画ページに飛べますので是非、ご覧ください!

Podcast「これ、アラビア語でなんていうの?」2017年01回を配信しました!

のんびり更新していたPodcast「これ、アラビア語でなんていうの」を今年も続けます。
よろしくお願いします。
音源はこちらのブログからダウンロード可能です。ぜひお聞きください〜。
↓↓↓クリックでケロログに飛びます↓↓↓
Podcast「これ、アラビア語でなんていうの?」2017-01配信!

そして、今回からこちらのブログにも会話のスクリプト(台本)を載せます。
参考にしてください〜。

【会話のスクリプト】
★=ムハンマド
☆=ひろこ

يا محمد .. ماذا تريد أن تفعل في هذا العام هذه السنة☆
(ムハンマドさん、今年は何がしたいですか?)

أريد أن أذهب إلى أوكيناوا★
(沖縄へ行きたいです。)

حقا!? … لماذا تريد الذهاب إلى أوكيناوا؟☆
(本当?どうして沖縄に行きたいんですか?)

لأن الجو في طوكيو بارد جدا .. وأريد أن أذهب إلى مكان دافئ★
(東京の天気は寒いから...暖かいところへ行きたいです。)

هذه فكرة رائعة.. أتمنى أن تستمتع في أوكيناوا☆
(それは素晴らしいですね。沖縄を楽しんでください。)

.شكرا جزيلا.. وماذا عنك يا هيروكو.. ماذا تريدين أن تفعلي هذا العام★
(ありがとうございます。ひろこさんは今年何をしたいんですか?)

...أنا أريد أن أذهب إلى كاواجوتشيكو لأرى جبل فوجي☆
(私は河口湖へ富士山を見に行きたいです。)

هذا يبدو رائعا .. جبل فوجي ليس بعيد عن طوكيو أليس كذلك★
(それは良さそうですね。富士山は東京から遠くないですよね?)

بلى، إنه قريب من طوكيو☆
(はい、そうです=遠くないです、東京から近いです)

حسنا .. لنذهب سويا إلى جبل فوجي .. أنا أيضا أريد أن أتسلق جبل فوجي هذا العام★
(じゃあ、一緒に富士山に行きましょう!私も今年富士山に登りたいです。)

حسنا.. لنذهب في الصيف ان شاء الله☆
(それじゃあ、夏に行きましょう。インシャアッラー。)

ان شاء الله★
(インシャアッラー。)

以上です。


ちなみに、新年の挨拶(ラマダンの時も使えます)は、
كل عام وأنتم بخير
(クッルアームワアントゥムビハイル=毎年元気でありますように)
عام سعيد
(アームサイード=幸せな年)
と言っていました。
他にも言い方がありますが、とりあえず「クッルアームワアントゥムビハイル」さえ言っていれば新年という感じです。

それでは今年もよろしくお願いします!
مع السلامة
(マアッサラーマ=さようなら)

平山花菜絵さん「ベトナム人日本語学習者のソーシャルメディア利用状況」メモ

北海道大学大学院の平山花菜絵さんの「ベトナム人日本語学習者のソーシャルメディア利用状況」を読みました。
リンクはこちら→「ベトナム人日本語学習者のソーシャルメディア利用状況」

ソーシャルメディアと日本語学習について私も研究したいと思っていたので、まさにストライク!!な文献でした。
ベトナムのハノイ日本語学習者196人に対して、ベトナム語などソーシャルメディアの利用状況と日本語のソーシャルメディアの利用状況を調査した結果が書いてありました。

よく使われているソーシャルメディアはfacebookだそうです。
また、日本語のソーシャルメディアを利用している人は日本語学習歴が8ヶ月以上の人が多いそうです。
なるほど。学習の初期段階ではまだ使うところまではいかないということでしょうか。

まとめと課題に、「どのようにソーシャルメディアを使って学習につなげているかを調べる必要がある」「そこで日本語教師の役割とは?」と言ったことが書いてあり、大いに共感!!!

私もソーシャルメディアと語学学習の関係研究したいな〜。
人間の教師の役目って何があるのかな〜。
人間だからこそできることって何かな〜。
ソーシャルメディアがあるから、いまはどこにいても言語を使って人と繋がることができるよね〜。
そんなことを盛り込んだ研究計画書だったので、大変参考になりました!!

平山さん今後の発表が大いに楽しみです。

2016年 振り返り

2016年を振り返る…

今年も残るところあと2日。
毎年年末年始は振り返りと抱負を書いているはずが、今年は全然ブログを書いていなかったので何がなんやらわからず…。
さすが日本の生活…忙しかったのね、私。

というわけで記憶と手帳を頼りに振り返って見ました。

【1月】
・初!日本のモスク体験…代々木上原の東京ジャーミーに行ってみました。ちょうど1月1日が金曜日で、新年ということもあって激混みでしたが、ご飯も配っていたのでちゃっかり頂いて来ました。おいしかったです。
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東京ジャーミー(モスク)外観。トルコ風。

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元旦だったせいか、ご飯が振舞われました!美味しかった。

・ヨルダン再来訪…先日ブログにも書きましたが、もう何も関係ない存在としてヨルダンに行って見ました。色々変わっていて微笑ましいような寂しいような…。学生たちの変わらない笑顔が嬉しかったです。でも、1月のヨルダンは超寒い!!もしまた行くチャンスがあったら、春に行きたいな〜。

・仕事面でいうと、学生が1人1枚(台?)iPadを使って授業を実施し、iTunesUでコース管理するデジタル化に挑戦(毎日がTry and errorな生活)。さらにはビジネスパーソンの日本語研修を任せてもらうようになり、ビジネスパーソン向け教材にも触れるようになりました。さらにさらに、JLPTのN1をプライベートで教えるようになり、必死でN1の猛勉強しました。

【2月】
・2月頭にヨルダンで一緒に活動していた人々と一緒に「ヨルダンお話コンサート」というイベントを実施。250人ぐらい入れるホールでアラブの音楽を演奏したりヨルダンの話をしたりしました(ちなみに私はピアノ担当)。私以外はみんな音楽の専門家(?)なので、お膳立てしてもらったイベントに乗っかった感じです。
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お話コンサート中のお話。


・Podcast「これアラビア語でなんていうの?」をちゃんとやる(第1回目は12月だけど、かなり適当だったので…)
・東京ジャーミーの「ヒジャーブイベント」なるものに友人(ムスリマ)と参加してみました。ムスリマたちによるヒジャーブについての意味や彼女たちがヒジャーブをかぶるまでのストーリーを聞きました。おもしろかったです。
・映画「オデッセイ」を見る...ロケ地がワディラム砂漠@ヨルダンだから。

【3月】
・特に動きはなく...ああ、日本で働いているヨルダン人女子と、日本語研修で日本に来たH先生とランチ食べたぐらいかな...。ハラールタイ料理@田端に行きました。

【4月】
・仕事面で、週に1回30分を8回という短期コースを任せてもらいました。発音クラスでしたが、気がつけばアニメでアフレコするクラスになってしまい、私の趣味全開でした。楽しかったです。

【5月】
・日本の学生たちとも徐々に仲良くなれて、ちょくちょく遊びに行けるようになって来ました。
代々木公園でピクニックをした時に、学生たちがカップルで参加しているのを見て、ただイチャイチャするだけじゃなくて家族として互いを支え合っている様子を見て、おー、若人ながら立派だなあ...なんて思いました。
・たまにアラビア語でクルアーンを読んで日本語で説明するクルアーン勉強会にも参加するようになりました。

【6月】
・ラマダン開始...まさかヨルダンで真面目に断食をしたことがないのに、日本で断食をしました。とはいえ、一緒に暮らしていた両親が見かねて止めに入ったので最後まで断食を続けることはできませんでしたが...。この時にイスラム教のことや仏教のことや色々本を読んで勉強しました。親とは喧嘩してしまいましたが、宗教的に染まれて居心地良かったです。
(そしてその後、ちゃんと和解もできました。あぶねー、あぶねー)
・嘉悦大学で當作靖彦先生のSNA(ソーシャルネットワークアプローチ)についてのお話を聞く&友人の友人である大学院生に話を伺って、研究っていいな〜と思い始めました。
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お話を伺った當作先生の本。サインをもらいました!

・JLPTまで1ヶ月を切って、JLPT対策が激化。スパルタで教えていました。

【7月】
・6月に出会った大学院生に紹介されて、大学院の説明会に参加。教授と直接話す事もできてかなりいい印象でした。今まで「研究」に対して「私には無理、関係ない」と思っていたものの、データで裏付けされた理論を展開して実践していくってかっこいいな〜と思うようになって来ました。そして大学院受験を決意。
・ヨルダンで日本語を教えていた学生が来日したので会いました。なんと4人も!!!(うち1名はプライベートな旅行で、あと3人は日本の大学生たちとの交流プログラムか何かでした)
 日本でヨルダンの学生たちと再会できるのは本当に嬉しいです。彼らも喜んでいるし、私も喜んでいる彼らを見られて嬉しい。でも、、、悲しい事もありますが、まあそれはまたいつかの機会に書けたらいいな。
・そして、仕事の量がこれまでの2倍近くに増えました。いろんなお仕事をさせてもらえてありがたや〜。

【8月】
・夏休み中にもサマーコースで授業をしていました。夏休み返上で働いていましたが休みが1週間ほどちょうどあって、その間に集中して大学院の勉強をしていました。
・ちなみに大学院の勉強は、
 ①研究計画書を書く...そのために何本もの論文と本を読む。ノートとりつつ読む。
 ②筆記の対策...過去問を入手して解きまくる(論述だったのでひたすら文章を書く)。
をしていました。
もう忙しすぎて楽しくなって来たのを覚えています。

【9月】
・ラマダン後のお祭りのイードなので何度目かの東京ジャーミーへ。本来はアラビックフェスタというイベントに行ったのですが、出店のアラブ料理は高すぎるし、出店が少なくて寂しい感じなので東京ジャーミーに流れて行きました。東京ジャーミーではイードのお祭という事もあり、食べ物も安価でたくさん売っているし、アラブ的な小物や服も売っているし、イスラム教徒の皆さんがたくさんいるし、子供がたくさんいて楽しい雰囲気満載でした。
・ビジネスパーソン向け日本語研修の勉強会に参加しました。色々教わることがあって、目から鱗!
・ついに大学院受験しちゃいました。結果、一次合格!

【10月】
・大学院、二次試験(面接)。いやもうしどろもどろすぎて最低の出来でした。自分の研究計画書なのにちゃんと説明もできなくて...今思い出しても恥ずかしいです。何を話したかあまり覚えていません...。
このショックを打ち消すために(?)、その日の夜の便でエジプト、アレキサンドリアへ!!!
夏から頑張って来た自分へのご褒美として何もしないバカンスを過ごしてきました。
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美しい地中海...。


・バカンス中に恐る恐る二次の結果を見ていたら、無事に合格していました。何事もなければこのまま来年は大学院に行きますインシャアッラー。

【11月】
・初めてアラブ音楽のコンサートを聴きに行きました。時間旅行をしている気分になれます!
・友人Mの結婚式。ともに海外で日本語を教えていた友人の結婚式なので感慨深いです。

【12月】
・来年にヨルダンに行く日本語教師と会えました!このブログのおかげでコンタクトが取れて、感謝です。


と、ざっと振り返るとこんな感じでした。

というわけで、来年は何事もなければ大学院に行く予定です。
帰国して2年が経ち、日本の生活にも慣れてきて学校以外のお仕事もさせてもらえるようになってきて、このまま日本語教師として自分はどうやって生きていきたいのかを考え始めた頃に運命のいたずらで(というか主に友人Aにつられて)行きたいな〜入りたいな〜指導していただきたいな〜と思える大学院と教授に出会えたのでそちらの方に流れていきました。

當作先生の「NIPPON3.0の処方箋」に、「言語学習は人間形成に必要」と書いてあり、衝撃を受けました。
言語は「わかる」がゴールなわけでなく、「できる」がゴールでもなく、「つながる」がゴールなんだと確信しました。
言語学習は人や世界とつながるため。
人と人とがつながることが幸せにつながる(らしい。人によると思いますが)。
つながるために人間の教師ができることって何?何をすればいい?

そんな疑問の答えを一つでも多く見つけて、世界に還元できる存在になれるように研究をしていきたいです。
そして、誰かの幸せのために貢献できる存在になりたいなー...という野望を抱いて来年も頑張っていきます。インシャアッラー。

(とか言って、仕事と勉強で研究どころじゃねえよーってことになりませんように...)